大自然に触れながら、地球の壮大なストーリーを家族で体験!

今いる場所は、海の底だった!?都会では体験できないこと。

占冠…、ちょっと不思議な響きの地名。アイヌ語で「静かで平和な上流の場所」という意味なのだそう。
キャンプ場のあるニニウ地区に近づくにつれ、北海道では珍しい切り立った岩壁や渓谷が姿を見せ始めた。
赤岩青巌峡は日本でも有数のロッククライミングの聖地、しかも「巨石と苔の森散策ツアー」があることを知り迷わず申し込んだ。
「この場所は大昔、海底だったんですよ」。そんなガイドさんの言葉からツアーはスタート。
赤岩はプランクトンの固まりで、1mの高さになるには200万年を要するという。
では、目の前の何十メートルもの岩壁には、何億年の歳月が流れているのだろう。太古から続く大自然の営みに息をのんだ。

トドマツ切りに初挑戦。新たな経験は、成長の魔法のよう。

次に体験したのは、アロマオイルとアロマウォーターの材料となるトドマツの伐採。
ノコギリなんて持たせた事がないので正直心配だったが、子ども達は興味津々!
5分も経たないうちに慣れた様子で歯を食いしばりながらも楽しそうに切る。
正しい伐採は、森作りのお手伝いにもなるとか。
「この容器がいっぱいなるまで松を入れないとダメだから、まだまだ切らないと!」
と、お姉ちゃん。ガイドさんの説明をしっかり聞いていたようだ。

大地の恵みは、食べものだけじゃない。アロマオイルもしかり。

ニニウキャンプ場に決めたのは、環境の良さもさることながら
赤岩青巌峡の散策など数々の体験プログラムが用意されているから。
キャンプ場に到着すると、さきほど集めたトドマツの枝葉の瓶を
専用装置にかけアロマ抽出に取りかかった。
時間にして約150分。
たくさんあった枝葉から、わずか400mlのアロマウォーターと
10mlのオイルしかとれない事に驚愕。
「市販のアロマオイルが高い理由が分かったわ」と妻が納得した様子で言った。

ドラム缶風呂、薪のキャンドル…。キャンプは絆を、どんどん深める。

ドラム缶風呂に大はしゃぎする子ども達。
抽出したてのアロマウォーターを垂らすと
「森の匂いがするー」と鼻をくんくんさせるお姉ちゃん。
自然は嗅覚をも敏感にさせるのか、子ども達の反応の良さに驚きっぱなしだ。
その後、みんなでバーベキューを楽しみ、薪を灯す夜のキャンドル体験へ。
周囲が真っ暗だから月が大きい、星がよく見える。
BGMはカエルの大合唱。
みんなで肩を並べてのテント泊は、家族の距離をいつもより近くした。

果たして見ることができるか!?神のみぞ知る奇跡の雲海。

翌朝、まだ暗いうちにテントを抜け出し「星野リゾート トマム 雲海テラス」へ。
雲海は朝晩の気温や湿度、風の向きや強さなど、
色々な気象条件が重なったときにしか見られないという。
5月〜10月で出現する確率は30〜40%。
冬はスキー客を運ぶゴンドラに乗り込み標高1088mの山頂駅へ。
徐々に空が明るくなり、雲の海らしきものが姿を現した。
「本日は全面雲海です」とアナウンスが流れる。
「やったー!!」家族みんなでハイタッチ。
幻想的な世界に呑み込まれそうになりながら
初めて味わう感動に酔いしれ、この地球の神秘を強く感じた。

朝食は、「雲のしたカフェ」で。子ども達は「おかわり!」連発。

興奮冷めやらぬ子ども達の笑顔を乗せて、ゴンドラは雲の上から再び下界へ。
ゴンドラ山麓駅にある「雲のしたカフェ」で朝食。
厚切りベーコンやソーセージの炭火焼きのほか、
グリル・ボイル・フレッシュそれぞれで楽しむことができる彩り豊かな野菜が並ぶ。
どれも味が濃くて甘い。
子ども達も同じように感じているのか、
いつもは食が細いのに今朝は食欲旺盛で何度もおかわり。
まるで大地のエネルギーを体一杯に蓄えているよう。
「成長してるのね」、妻が嬉しそうに呟いた。

取材協力
ニニウキャンプ場、赤岩青巌峡、星野リゾート トマム